晴球雨碁



                                           吉野従生

囲碁とゴルフ
僕の趣味は囲碁とゴルフである。
 囲碁は学生時代に覚え、以来50年近く続けているし、
ゴルフも始めたのは30年ほど前である。

 この二つの趣味はまったく異質に見えて、
いくつかの共通的な要素をもっている。


共通的な要素
まず碁は「礼に始まり礼に終わる」という教えがあるし、
ゴルフもルールブックの第一章はエチケットです。

 古い歴史を持つ囲碁やゴルフには、今でもこうした良き伝統が続いており、
これが紳士・淑女の趣味として
市民権を得ている理由の一つであろうと思われます。

 次に碁もゴルフも上達するのにかなりの努力と時間を要するが、
一旦覚えると、その魅力の虜になり、
なかなか止められないというやっかいな性格をもっている。

 また一度プレイをしたとき、その人柄に惹かれて、生涯の友として、
はたまた碁敵として付き合いが始まるのも特筆に値する。

共通の特色
 碁では布石・中盤の戦い・ヨセ・終局が一局の流れであるが、
これをゴルフのロングホールに例えれば、
ティショット(布石)・セカンドショット(中盤)・アプローチ・パット(ヨセ)・
カップイン(終局)と、よく似た流れになる。

 そして、碁もゴルフも置石(二子から九子まで)やハンディキャップにより、
初心者から上級者まで対等に楽しむことが出来るし、
プロの存在も共通の特色である。

奥深さ
しかし、

何と言っても碁やゴルフの魅力、面白さはその奥深さにある。
よく「人生に似ている」と言われるのは、いくら努力しても、
極めきれない奥深さにあるのではないだろうか。


晴球雨碁
 人生の晩年を迎え、僕はこの二つの趣味に感謝している。
晴れた日には自然の中で友とゴルフを楽しみ、
雨の日には碁敵と石を握って盤に向かう。
即ち
晴耕雨読ならぬ「晴球雨碁」

 こんな楽しい人生がいつまでもいつまでも、
続いて欲しいと願っています。